読書 「祝宴」 ディック・フランシス&フェッリクス・フランシス著 北野寿美枝訳 早川書房 おなじみ競馬ミステリ脅威の第40作目 今回から子息であるフェリックス・フランシス氏との共著になっています。 死んだ障害騎手の父親から不屈の精神を受け継いだが、競馬関係者にはならずシェフになって ミシュランの三ツ星を獲得した主人公、マックス・モアトンはニューマーケット競馬場のクラシックレース の前日記念レセプションのバンケットランチを担当し、出席者と料理人スタッフが食中毒を起こすという惨事 に見舞われる。 分析によると使ってもいない食材の毒素が検出され、悪意のある誰かの工作を疑い始める。 その翌日、競馬場の来賓ボックスが爆破され、誰かが自分の命を狙っているのだという危機感を確信していく 果たして真犯人は? 真犯人の目的は? 主人公31歳、という設定だけあって、作品そのものに若やぎを感じます。 死んだ奥様になりかわって新たに作品のブレスト要員を引き受けてくれたという子息のフェリックス氏 の参入も、大いに関係ありそうです。 復帰第一作の前作に比べて、アクションシーンが痛々しくない。 主人公の恋人、キャロラインとのラヴラヴシーンもなにやら主人公がシェフだけに ごちそーさま、というか。 マックスが食事をこしらえ、すっかり打ち解けた二人のシーン マックスはキャロラインに寝室を譲ろうとするが 〜予定通り、キャロラインは私のベッドルームで寝なかった。 だが、私もそこで寝なかったのである〜 相変わらず、抑制の効いた文章で、ラヴラヴな表現が嬉しい。 トリックのアレがやや強引のような気がしないでもないが、このシリーズ、なんにでもネタと殺人に競馬を牽引するというのが最大の特徴なので敢て言及しないほうがいいか? 大体、62年デビュー以来、これで半世紀近く作品を執筆してきてるんだし。 最愛の奥様を失った作者の哀しみの思いでが随所に作品から顔を覗かせる。 〜最愛の人との人生の最後の時を一時間引き伸ばせるとしたら、人は代わりに何を差し出すだろう?〜 それでも小説はラスト以下の言葉で結ばれる 〜いま、私は第二の人生を全力で生きようと思っている〜 生きるということは、生きることを愛すること、という信念をひめた言葉に作者の完全復帰を感じました。 ちなみにオリジナルタイトルは 「DEAD HEAT」=デッドヒート ヒート=同じレースグループ 程度の意だそうですが 何ヒートかの勝利馬を連続で当てるという賭け方で、一着同着になると、一着が無効になることから派生した という 競馬用語由来の言葉とのことです。 賭けた方は泣くわな |