
読書 「銀色の愛ふたたび」 タニス・リー著 井辻朱美訳 ハヤカワ書房 24年前に出版された「銀色の恋人」の続編 「銀色の恋人」は挿絵が川原由美子さんの頃に読みました。 大金持ちのお嬢様ジェーンは銀色の肌、紅の髪の人間そっくりの男型高機能ロボット「シルヴァー」 に恋をして、道ならぬ恋、ならぬ人ならぬ恋、にはまり込み、親の金でシルヴァーを買い取り、人間に成りすませ スラムで同棲を始めるが、いびつな恋は違法行為をしたロボット、シルヴァーの解体で破局を迎える までが前編のあらすじ 「〜ふたたび」 は前編の物語りが発禁書として出版された時代、ヒロインのローレンは件の発禁書を夢物語として成長し、いつしかシルヴァーに恋心を抱く。 そこにシルヴァーがヴァーリスと名前を変え、再販されるというとんでもない情報を入手し、スラムで生まれ育ったローレンは上流階級都市に向う。 そしてヴァーリスとめぐり合う。 だが、ヴァーリスは初代シルヴァーと違い、恋愛の意思を持ち、生殺与奪の意思を持つ人間を凌駕した人工生命体だった。 しかもヴァーリスにはローレンへの「恋心」をインプットされていたのだった・・・・・ という展開 未来社会が舞台の物語りではよくテーマにされるところの 「擬似〇〇」 に相対し、そこに寄せる人間の感情や愛情は本物なのだろうか という古典的テーマをラヴストーリーで展開されることで無難に展開している。 ローレンがヴァーリスに“所詮、インプットされて私が好きなんでしょう”と、言われ、返すヴァーリスの言葉が痛い。 「〜わたしが漂っていた、なのなにもない、誕生以前の沼の中からひっぱりだされて、この体に押し込まれて以来、ずっと感じてきたこれを?これを魂と呼ぶべきか?神のみぞ知る、だ、ローレン。われわれがたしかに所有していると感じられるのは、この体という領域しかない。きみはそれに、あるいはわたしに、背を向けるのか。」 そこまでジレンマするなら御互いの記憶をデリートして、出会いから始めるという手もあるのでは とか読後、思ったりもしましたが 以前、友人の結婚式の披露宴で仲人さんが 「出会いは偶然 愛は必然」 と名台詞で祝福したことを思い出し。 百の偶然に千の出会いを重ねても、感情と感情の出会いは科学実験でもなんでもありませんので たった一度の出会いがなければ唯一つの愛は生まれ得る事は無いのかもしれません。 場合によりますが、インプットされたレディーメイドの愛でもいいんじゃないかとは私は思います。 出来合いのコンビニエンスな愛もそれはそれで悪くは無いでしょう オリジナル成分たっぷりの
悪意や害意でひとを傷つけるよりはよっぽど人らしいよ
ちなみに名台詞で祝福された友人夫婦はめでたく後年、離婚しました(大笑) |