「首切り浅右衛門 あるいは憑かれた人々の物語」 柴田錬三郎著 講談社 おもいっきりツクリバナシを読みたくなって読む。 既読の「四谷怪談・お岩」を含めた短編集。 もとっから醜女だが貞女という設定のお岩さんと頭空っぽ男、伊右衛門という設定。 DVられてもとからMっけのあったお岩さんが女郎に叩き売られてどM覚醒。しかももとよりあった淫蕩の血が目覚めてしまうというえろすい一連の描写にしびれまくる。 こんな本、未成年が閲覧できていいのか地元図書館(笑) 本書の最後の短編「一心不乱物語」の余韻がいい。 幕末頑固な刀匠のもとに押しかけ弟子が来る。 どんなものでも切れる刀を打てる、と自信満々の押しかけ弟子のポリシーも刀も一刀両断する老刀匠。 「切れる刀は所詮人斬り包丁。好い剣とは守る剣」 しかし弟子の刀はその切れ味ゆえに名人上手に求められ、風雲吹き荒れる幕末の中、人を斬り続けはこぼれ一つしない。 そして明治の世になり弟子の刀を返しに来たという元は高禄の武家の妻女が弟子の下を訪れる。 弟子の打った刀は西南の役で西郷につき従った妻女の一人息子が最後、自害して果てるために使われたのだという。 衝撃のあまり弟子は受け取った刀をかつて師匠にされた如く一刀両断にしてしまう。 師匠の言葉を噛み締めながら廃刀令の世、弟子は鍛冶の仕事を絶つが、あることを機会に最後の一振りを打つ・・・・・ 善をなしたいという善人の善そのものが欲になり人を、おのれをおとしいれてしまう、という人間の業 とでもいうんでしょうか。 痛快なツクリバナシのなか、深いテーゼ。 |