拾遺


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...... 2009年01月27日 の日記 ......
■ マンガとかの感想   [ NO. 2009012701-1 ]

「ブロンズの天使・外伝」 さいとうちほ 小学館

プーシキンの青春、ジョルジュ・ダンテスの青春。

本編で決闘する間柄であるだけあって、笑えるくらいよく似た青春期。

人妻の尻を追い掛け回している。

が、当時の倫理観で言えば未婚の娘の尻を追い掛け回すと下手を打てば結婚せねばならないのでこれは妥当な遊び方。

時代衣装の描き方も上手いが、当時の倫理観をふまえたキャラの台詞、キャラのギャグをネームにするのが上手い。

作者がバレエファンだけあって表現力に富んだ手足でキャラの性格まで描いてしまうのがまた上手い。

 

 

「アルカサル−王城−外伝 1」 青池保子 秋田書店

史実どおりにドン・ペドロ王を殺したはいいが、唐突すぎて物語的余韻を欠きすぎた。

致しかたないことなのだが。

の、かわりに生前のドン・ペドロのエピソードを描いて楽しませてくれている。

陽気でスチャラカで優しく時に冷酷な男前の権力者。

描いていて楽しいだろう。

読んでいるこっちも楽しい。

修道士ファルコのキャラとも絡ませて遊んでいます。

外伝1ってことは、二巻目以降もあるんでしょうか。

 

「私たちの幸せな時間」 漫画:佐原ミズ 原作:孔 枝泳(コン ジヨン) 新潮社

自殺常習者の元ピアニスト・樹里はあるとき聖職者の伯母からとある死刑囚にあってやってくれと頼まれる。

死刑囚・佑はは三人殺害した無差別殺人者だった。

生きるのにあまりにも不器用な二人は刑務所の檻をごしにおずおず心を通わせ始める。

やがて死刑囚・佑のなかに生への希望が芽生えてゆくが・・・・

とかくとベタベタのメロドラマなんですが。

死刑制度という問題を上手く絡ませてドラマに透明感のある重厚さを持たせている。

聖職者の若き日の伯母の言葉を揺り動かした、幼い樹里の言葉

「生きている時は嫌いなのに 死んだら悲しむなんて変なの」

人のこころの残酷さ、わりなさ。

では、愛した人を殺し去ったこの憎しみがなくなるだろうか、殺人者を赦せるだろうか。

やがて佑の口から殺人に至った動機がほつりほつりと語られる。

盲目の幼い弟と二人実の母から虐待され、家出。

十代前半で売春行為をして生きる糧を得てきたが、兄の行為を苦にして弟は自殺、生き甲斐をなくした佑は快楽殺人者の手先にもなりかけるが、やはり家出人の少年と一緒に暮らすために足を抜こうとしていた。

佑の行為を面白く思わない快楽殺人者は偶然に見せかけて少年を殺害。

怒りの余り、快楽殺人者をころし、その際、無関係の親子二人を巻き添えにしてしまったのだ…

きちんと生きる事は難しい

きちんと死ぬ事はさらに難しい

 

「巨人譚」 諸星大二郎 光文社

書き下ろし「ギルガメシュ」を含めた単行本。

親友エンキドゥに死なれ永遠の生命を求めて旅をするギルガメシュ。

永遠の命を「永遠に変わらないもの」ではなく「永遠に変わり続けるもの」と位置づける作者のセンスに脱帽する。

この永遠の命の位置づけを、二十年前に描いた短編「ロトパゴイの難船」の憎まれ屋、「砂の巨人」のクレタの末裔の少女の生き方、心の揺れ方に反映させてゆくあたりは何度読んでも上手い。

モーニングで「西遊妖猿伝 西域編」も始まりまして「大唐編」も全十巻の単行本にまとまることになり、涙を飲んで手放した私はホット一息つきつつ本の収納場所に頭が痛いです。

 


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