
「世界香水ガイド☆1437 匂いの帝王が五つ星で評価する」 ルカ・トゥリン タニア・サンチェス著 芳山むつみ訳 原書房 香水オタクの生物物理学者・現MIT研究員のルカ・トゥリンと香水オタクのファッションエディターのタニア・サンチェスが送る香水ガイドブック。 フランス語版は既出だそうですが今回は共著の初英語版を邦訳。 最近つけないんですが、香水は好きです。 娘っ子のころは似合うとかTPOとか考えずとりあえず好きなのをつけていましたが二十代後半でアントニアズフラワーズの「アントニアズフラワーズ」あたりで開眼。 流行に乗ってディオールの「プワゾン」や「デューン」でやんちゃしつつ、エルメスの「イリス」を知ってブラックフォーマル用香水にすることにして、イッセイの「オー・ド・イッセイ」なんかに浮気しつつ、最終的にはゲランの「ミツコ」にたどりついていつかこんな香りの似合う女性になりたいものだ、と思って資生堂の「ホワイトローズナチュラル」を時に愛用しつつ、現在に至る。 ので、こういうガイドブックは楽しい。 ちなみに本書によれば 「アントニアズフラワーズ」はラヴェンダー・バイオレット系☆☆☆ プレスの資料によると「生きたフリージア」つまりフリージアの花から香りたつ香気を再現したということだった。 その香気は90以上のリナロールと残りはほとんどヴァイオレットで構成されている。したがってこの香水は素敵なラヴェンダーにバイオレットのドライダウンをあわせたものということになる。私は二つとも大好きだ。数少ない男性用癒しの香りとして必要に応じてつけたいと思い、リストに書きとめた。(L・T) だそうです 一昔前の男性用フレグランスは男フェロモン全開の猛々しくてもっそい臭さの香りばっかだったんで、なんか、わかる。 ちなみに ディオールの「プワゾン」は過激なチュベローズ☆☆☆☆☆ プワゾンの試香はどことなく帰宅ラッシュ時にM1エイブラハムス主力戦車を試乗するのに似ている。周りの車は道をあけてくれるようだし、もしどけないのなら砲身をぐるりと回転させてお遊びでないことを知らしめるまでだ。だれもが目の敵にしたがるのがこの香水で80年代を特徴付けた野獣であり、私にとっていくつかの友情と、大切な取引先を一件犠牲にした香水だ。さらに、史上間違いなく華やかで、シロップのように甘いチュベローズであり、個人的には「アマリージュ」、そして「彼にとって忘れられない一夜を」といった部類の、オスカーデラレンタの初期作品を葬ると思っている。香水コレクターなら誰でも持っているべき、ただしディナーにはつけていかないでもらいたい。(L・T) わかるわかる^^ でもって エルメスの「イリス」は☆ 淋しげなアイリス オリビア・ジャコべッティは「ジング」「プルミエフィギエ」といった最高傑作をいくつか手がけている。両方ともラルチザン パフュームの製品であり実に素晴らしい。彼女がいつもの手法を出来る限り切り捨てていって作っているためだ。いつもはさえなくて酸っぱい香調の繊細なフローラルだ。無香料の柔軟仕上げ剤で洗濯した服を思い出す。悲しいことにイリスはこの代表作のひとつだ。全体的にそっけなくやつれた様相を加えた根のアイリスノートだ。ひどすぎる。(L.T) だそうです。けちょんけちょんですね。 考えようによってはこれほどブラックフォーマルに似つかわしい香水もないということで自分の選択に我ながら感心する。 ルカ・トゥリン氏の独特の言い回しで表現される香水の数々は解り易くかつ楽しい。 香りを知っていれば頷き、知らなければ嗅いでみたくなる楽しい一冊。 |