拾遺


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...... 2010年07月22日 の日記 ......
■ 読書感想   [ NO. 2010072201-1 ]

 

 

感想って打とうとすると乾燥って変換され…

 

 

「追放されしもの」 ミシェル・ペイヴァー 評論社

 

クロニクル・千古の闇シリーズ第四巻

 

前巻でで魂食らいの刺青を入れられていたことが発覚して主人公トラクやっかいになっていたワタリガラス族の野営地追放となる。

 

ここでこわいのは追放そのものよりも、死者と看做され追っ手をむけられることよりも、追放刑そのもので自身のパーソナリティーを喪い、心神喪失状態になりながら森をさまよって消耗死することだろう。

 

あの野生児トラクが、だんだん自分を喪ってい描写がコワイ。

自分の名前はおろか、兄弟として育った仔オオカミのウルフの存在と名前、はては物心ついていたとこから慣れ親しんだカエル、とか、カタツムリ、とかの名前や存在がわからなくなって森を彷徨う。

 

筋はと言えばトラクは心神喪失状態から脱却し、追放刑を撤回され、「氏族なしの生霊わたり」というかなり特殊な存在として全氏族から認識されるにいたる。

 

このへんは予想できる筋なので特に感動なし。

 

トラクが己を取り戻すきっかけになるシーンのレンのにわか呪術ほどき、あまり説得力が無い。

むしろ己を取り戻し、ウルフとまた仲良くなってからワタリガラス族の元に戻れない、と寂しさに打ちのめされそうになるあたりで完璧におのれを取り戻す、というのが上手い。

 

主人公の精神的成長がうかがえてよい。

 

あいかわらず自然描写は細やかで感覚に訴えるのがとてもいい。

 

今回は、ウルフが年頃になって雌オオカミと恋愛モードになってみたり、レンの出生の秘密の一つが明らかになったり、レンに初潮ががきたり、と過去バナや恋愛フラグが立ちそうなイベント満載でファン的には甘みのある巻。

 

素直に続巻を期待したい。


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