「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」 羽根田治 (著) 飯田肇 (著), 金田正樹 (著), 山本正嘉 (著) 山と渓谷社
AMAZONさんの商品説明によるとこんなかんじ ↓ 内容紹介 昨年7月16日、北海道のトムラウシ山で15人のツアー登山パーティのうち 8人が死亡するという夏山登山史上最悪の遭難事故が起きた。
2月24日には事故調査委員会による最終報告書が出され、 今回の事故がガイドによる判断ミスと低体温症によるものと結論づけられた。
また1年の時を経て、同行ガイドの1人が初めて事故の概要を証言。
世間を騒然とさせたトムラウシ山事故の詳細に迫り、検証したノンフィクションである。 15人中8人死亡とはかなりの事故です 本書では登山事故史上世界最大といわれている八甲田山による訓練中の事故が引き合いに出されています。 互いに面識のない登山客 互いに面識のなく七月の大雪未経験だったというガイドたち 山をなめた発想で企画先行した「ツアー登山」の恐ろしさ 変わりやすい山の天候 ガイド・登山客両方の低体温症についての知識の乏しさ 読めば読むほど「最悪」の状況が発生する状態が克明に記述される
本書でも登山はかなりリスクの高いスポ−ツであること 故に高度な知識・体力を持つもの同士がパーティーを組むのが常識といわれながらも 京都の名刹観光するようなノリで高山にいくのはいかがなものかとお気楽な旅行会社が企画する「ツアー登山」に苦言を呈している。 一言で言えば「山をなめるな」に尽きる悲惨な事故であります
「天の時 地の利 人の和」
という言葉がありますが
「天の不時 地の不利 人の不和」
という最悪の条件が重なってでおきてしまった事故なのだなあ、と思いました
ここでふと気になって「天の時〜」のモトネタについて検索してみたところ
孟子からの出展なんですね
モトネタの孟子はさらに深かったです
孟子曰はく、 「天の時は地の利に如かず。 地の利は人の和に如かず。
三里の城、七里の郭、環りて之を攻むれども勝たず。 夫れ環りて之を攻むれば、必ず天の時を得ること有り。 然れども勝たざるは、是れ天の時地の利に如かざればなり。 城高からざるに非ざるなり。 池深からざるに非ざるなり。 兵革堅利ならざるに非ざるなり。 米粟多からざるに非ざるなり。 委てて之を去るは、是れ地の利人の和に如かざればなり。
故に曰はく、 『民を域るに封疆の界を以てせず、 国を固むるに山谿の険を以てせず、 天下を威すに兵革の利を以てせず。』と。 道を得る者は助け多く、 道を失ふ者は助け寡なし。 助け寡なきの至りは、親戚も之に畔き、 助け多きの至りは、天下も之に順ふ。 天下の順ふ所を以て、親戚の畔く所を攻む。 故に君子戦はざること有り。 戦へば必ず勝つ。」と。
わざわざ逆境に陥りに行くようなものなんだから、せめて体力・知恵・人間性ともに信用のおけるもの同士でいきましょう という教訓は亡くなった方々にはもう届かず生存された方にもどれだけ届いているのかわからない 悲惨な事故が繰り返されないことを願うばかりです。
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