「イルカの島」アーサー・C・クラーク著 小野田和子訳 東京創元社 読了 時は二十一世紀(って今じゃん) 密航したホヴァーシップが沈み海上でただ一人漂流する、両親と死別し遠い親類の叔母に厄介者扱いを受けていた家出少年、ジョニー。 手作りの筏で漂流する彼を助け、筏を運んだのは一群のイルカたちだった。 運ばれた先、イルカとのコミニュケーションを試みる人たちの住む、「イルカの島」だった・・・ というドキドキワクワクのSF冒険小説。 少年が大冒険の旅に出るきっかけとして「冒険心・好奇心」はもとよりですが「係累に乏しい」が大きなきっかけの一つなんですねえ。トリトンみたいに。 クラークといえば「2001年宇宙の旅」「幼年期の終わり」なんかで知られたわたしなんかは「へへー」 と土下座ってかしこまってしまうようなSFの巨匠、だと思っていたのですがこんな読み心地のいいジュブナイル小説を書いていたんですねえ。 クラークといえばSF、みたいに思っていましたが、じつはこのクラークさん、プロのダイバーとしても有名な人物なんだそうです。 スマトラ沖地震の津波が起きるまでは、スリランカあたりでダイビングスクールを開いていたんだそうです。 (現在復旧作業中だとか) どうりでね、海の描写がリアルなんですよ。 珊瑚礁の端を磯拾いするときはしっかりした靴底の靴を履かないと足が傷つくし、痛い とか 夜の海に漂っていると夜光虫がさざなみのように光る とか 真夜中に夜空がぼう〜っと光って明るく見える「黄道光」の美しさ とか ハリケーンの海、竜巻に海底の夜光虫ごと海水が巻き上げられて、海水の竜巻が光ってみえる とか ハリケーン時、避難所でお籠もり。停電の闇の中ろうそくの明かりで、用意していた保存食を食べ、本を読んだり、トランプで遊んだりして、ハリケーンと御付き合いするように泰然とハリケーンをやり過ごす なんて大自然の描写は実体験だろうなあ、とおもったらやはりそうだった。 大人向けの本をかける方は、子供向けのそれでいてしっかりした骨子の小説を書けるんですねえ。 約五十年前に衛星写真でイルカの群れを撮影、追尾、なんて描写がさらりとでてくるのはさすがクラーク、って感じです。 後書きによると、ダイビングで事故に遭い半身不随の状態でこの小説は書かれたんだとか。 海に対する格別なオマージュを紙背から感じるのはそのせいでしょうか。 でもその療養中、こんな良作を書いてしまうのだから転んでもだたでは起きないわらしべ長者のような方、クラークさん・・・ この本読んでダイビング行きたくなりました。 |