拾遺


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...... 2007年01月22日 の日記 ......
■ 読書   [ NO. 2007012201-1 ]

「謡曲紀行一・二」 小倉雅久著 白竜社

 

一見お硬いけどかなりくだけたお能の歌=謡曲の解説本。

舞台になった土地の解説が細かくて、これだけで一読の価値あり。

「山姥」の舞台は長野県、南アルプス〜、なんて書かれちゃうと

「山姥=山媛」にオバハンやまのぼらーのイメージがダブってかなり笑えます。

知ってるようでかなり知らない演目多し。

それにお話のバラエティーに富んでいること!

ホラーあり、恋愛あり、オカルトあり、ファンタジーあり、アクションあり、仇討ちあり、母恋あり、外国物あり

これとこれのモトネタを知っておけば古典文学はほぼカバーできるし、お話作りのハコが増えそうです。

 

知ってるようで知らなかった謡曲・その一

「橋弁慶」

ご存知、京の五条の橋の上〜♪で弁慶と牛若丸が出会うお話

なのだが。この謡曲では千人切りは弁慶ではなく、なんと牛若丸!

 

「辻斬り犯人は牛若で、弁慶が退治に出かける」(原文より)

で、逆に弁慶が返り討ちにあって牛若のパシリ、もとい家来になるわけですね。

 

だめだめじゃん弁慶。

 

 

知ってるようで知らなかった謡曲・その二

「高砂」

祝言の席での「高砂や〜この浦舟に帆を上げて〜♪」は本当はツレ(脇役)の歌。

なので正式の祝言の席では地謡の

 

「四海静かにて。

国も治まる時津風。

枝をならさぬ御世なれや。

あひに相生の。

松こそめでたかりけれ。

げにや仰ぎても。

こともおろかやかかる代に。住める民とて豊かなる。

君の恵みぞ有難き君の恵みぞ有難き」

が謡われる。らしいです。

 

だとしたら私は「正式な祝言」というものに一回も列席していない。

なるほど。どうりで離婚率が高いわけだ。

 

知ってるようで知らなかった謡曲・その三

「卒塔婆小町」

才色兼備を誇った驕慢な美女の憐れな末路。基本的にはこれでいいらしいんですが。

内容を読むとそうか??

 

「崩れた卒塔婆の上に腰を下ろしていた小町。有難いものに尻を乗せるな、と坊主が説教をする。

すると小町、堂々と反撥。倒れていたので拝まずに休んだまで。順縁に背いても逆縁で成仏出来よう

悪人も慈悲の観音と同様に成仏でき、愚者も文殊の知恵と同じ、悪は善、煩悩は菩提」

 

すんげえ屁理屈。

 

感じ入ってしまう坊主。

そこで小町、とどめの一発

「極楽のうちならばこそあしからめ そとハ何かハ苦しかるべき」

 

と逆に坊主をやり込めてしまう。

 

だめだめじゃん坊主。

 

いい謡もたくさんあります。ここの部分が好きです。

「羽衣」

羽衣を返してくれ、と頼む天人。返してやるから一指し舞え、という人間。が、羽衣がなければ舞えない、という天人。

人間、羽衣を返せば約を違えて天に戻るだろう、と羽衣を返さない。

ここに天人が言う台詞が

「いや疑いは人間にあり。天に偽りなき物を」

 

げにやげに。「偽りは人間にあり」

 

あと「海人」のストーリーが宮古島の羽衣伝説と相似していたりする部分はやはり日本人の源流は南方なのかも、とか。

「俊寛」の項に配流された喜界が島の地図が載っており、本当にかなり九州本土から遠いのに吃驚。

「せめて九国の地まで〜」という平家物語の恩赦を受けられずに帰国組に泣き縋る、というのに実感。

実は私の亡き御舅さん生前、転勤先「福島か種子島か」と二択させられ、福島を選んだ、というのを思い出し。

種子島でも島流し感ありありです。(実際は種子島には宇宙センターなんかあって定期船が頻繁に往来し、さまで島流し感は無いようですが)



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