「非常民の民俗境界」 「村落共同体と性的規範・夜這い概論」 赤松啓介著 明石書店 読了 「非常民の民俗境界」は 白土三平の「カムイ伝一部」をより苛烈に&「カムイ伝二部」を、よりあけすけにしたような内容。(カムイ外伝、でないところがミソ、ですな。ふはは。) マンガはやはりフィクションなのですね〜当たり前ですが。 だから面白いんですし。 「村落共同体と性的規範・夜這い概論」 えちありの民俗学。 岩手艶笑譚より 抜きだしてみました。 以下、岩手ネイティブスピーキングでの音読お勧め。
〜大きな造り酒屋の若旦那が突然に死んで、三十三の若後家が残った。 あるとき倉の中で後家が番頭と片付けものをしていると、番頭が「もし、おねがい聞いてくれねば、私は、もうここ出て行きやんす」 「まあ、そんなにのぼせて、お前の気持ちは前からわかってたの──そんだら晩景十時にわたしの部屋さ来ておくれ。待ってるから。」と、後家。 だが、番頭は誰もいねいし、今ここで今ここでたのみ聞いてくんなせと後家を引き寄せ、耳さ口っこおつけて、思いきっていったど。 「あのう、晩景から、どんぶり飯を、もっとてんこ盛りにしてくなんせ」
私的感想「そっちかい」 悲痛な話 〜大阪の或る遊郭での出来事、まだ二十歳にも足らぬ若い美しい妓があった。ある不図したことから綿商の息子と云う若者と、深い馴染になった。こんなところに足踏みするものに見られない頼もしい所がある好い青年であった。女もうきうきしない落ち着いた妓であった。互いに恋し恋されて遂には女は若者に身請けされた。けれども不思議にお互いに其の出生に就いて問うたり話したりすることはなかった。 女はただ大和の国と聞いたのみで、男について汽車に乗った。 汽車から降りて、其処は河内との境に近い所であった。二人は黙々と歩いた。若者は生まれ故郷へ、女は初めて見る愛人の村へ。けれども近づくに従って、女の顔は青ざめた。いよいよ峠の上に来て。先程から悟られたと思って黙って居た青年は、暗い顔をして彼方を指した。 点々として見える屋根、白壁、それは所謂被差別部落であった。 女は声をあげて泣き出した。若者も思わず女を抱いて泣いた。そして女が涙ながらに語るところによると、女もまた程遠からぬ道のりの矢張り部落の生まれであった。 幾時か泣いたのち、男は言った「別れよう」、女は答えた「分かれましょう」と。 私的感想「何よりもかけがえのないのは、お互いがお互いを思う気持ち、だったはずなのにね。」 どっかで、夢が、欲が、お互いへの思いより先んじてしまったんでしょう。 出身地域、疾病、肌の色、宗教 差別はなくならない。 無くならないのはあったほうが都合のいい人たちが今でも居るから。 郷土をアイヌ・モシリ(私たちの土地)と呼んだ人たちから、土地を奪って、差別した人間の子孫の私にも、そんな潜在性があるのかもしれない。 差別する方は、差別する理由が解ってやっている。だから差別がある。 差別なんてしたことがない、と思っている人は自分の傲慢がわかっていないだけ。 「無知は理由にならない」 自戒として、記す。
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