拾遺


[PREV] [NEXT]
...... 2007年03月10日 の日記 ......
■ 読書   [ NO. 2007031001-1 ]

「挨拶は大変だ」丸谷才一著 朝日新聞社

丸谷氏自身の、スピーチ、挨拶、弔辞、時々の文学賞受賞会場での挨拶集。
過去の原稿をまとめて、当時を振り返る一文、二文を追加している。なので、原稿を催促されないで筆者、編集者、双方楽な思いで出版できたそうで。

話題が豊富で、当たり障りの無い会話ができる丸谷氏は、交際上、よくこういうことを頼まれたようです。が、知らないジャンルは、知ったかぶりしないで、よく知らないけど、オメデトウ、みたいな結構苦しい挨拶もあったり。

 
村上春樹の谷崎賞贈呈式での選考委員会祝辞よりの冒頭

〜わたしが村上春樹さんに言った。
「君がヤクルトに負けた日に、神宮球場の外野席で、小説を書かうと思ひたったといふのは、いい話ね。」
春樹さんは微妙な表情で、私の思い違いひを正してくれた。
「勝った日ですよ」〜

この一文、村上春樹のどーゆー「微妙な表情」か、が見えたような気がいたしました。

吉行淳之介さんを偲ぶ会での挨拶、の冒頭。


〜なにしろ、色紙に仙崖の句、
「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」
を書く人である。こちらもすこしは気を使ふ。なるべく物を頼まないやうにしたし、たのんで断られると、あっさり引き下がった。いや、一度だけ例外があるか。『四畳半襖の下張』裁判のとき、証人に出てくれと電話をかけた。ちょっと渋ったけれど、粘ったら、快く引き受けてくれた。〜

何か書いて、といわれて書く一文、というのはその方の性格がモロに出ますねえ。


「気に入らぬ 風もあろうに 柳かな」

 

こういう句を頼まれ色紙に書く。気難しい友人だったようです。吉行淳之介氏。

今月号の「サライ」で特集されてましたねえ。


(靡きたい方にだけ靡けりゃいいのに ああ、ヤダヤダ 柳も憐れな という かなり辛辣な意味でしょうか ははは。仙崖は江戸中期の禅宗の坊主だそうです。こういうことを言う人にも拘わらず意外にその人柄は慕われていたようです。)


「仲良きことは 美しきかな」と書いたのは武者小路実篤でしたか(うろ覚え)
「芋たこなんきん」の田辺聖子さんは
「そんなことないと こころの中で言い」だそうです(確か。うろ覚え。)
この田辺聖子さんの一文、蜀山人の「それにつけても金の欲しさよ」同様、どんな五、七、五 のあとにつけても爆笑できる愉快な一文で。
駄句、名句、どんなの五、七、五の後ろにつけても笑えて、なおかつ文章としての完成度が高いパロディが作れます。試してみてください♪


...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: