「キリストの勝利 ローマ人の物語 ??」読了 塩野七生著 新潮社 図書館の最終巻の順番待ちで、十四巻から逆に読んでいる。 八巻からいきなり飛んだが、ストーリーを追う本ではないのでどこからでも安心して読める。 十三巻のサブタイトルが「最後の努力」だったので、もう万策尽き、理知と法によって繁栄を誇った 古代ローマがキリスト教という「神」の名の元に崩れ落ちる、という様をただ、見ているしかない、というヨーロッパの四世紀。 元々在った信教の自由が、キリスト教の他教の排他により、異端、邪教、とみなされる、という恐ろしさ。 これ以降、暗黒の中世に、時代は流れ込む。 わずかに「背教者」皇帝ユリアヌスが、「信教の自由は元々あったんだし〜いいじゃんか」という最後の抵抗を試みるが、時代の流れには逆らえない。 歴史にIFはない、とはよく言われる言葉ではあるが、本書の作者は歴史を研究しているが歴史学者では無いので 「もし ユリアヌスの治世が十九ヶ月ではなく、十九年続いていたら?」 は面白い。 著者はその考察を「可能な限り、宗教は現世の利益とは無関係。個々人の魂を救済するもの」という宗教の基本概念に立ち戻って宗教戦争は無かった、とまでは言わずとも、一神教の弊害(他教の排斥)、に人々は早く気付くことができたのではないか?と「皇帝ユリアヌス」の末尾に書き、「背教者」をリアリストとして「輝かしい贈り名であるのかもしれない」と遠慮会釈無く結んでいる。 内容も本文も、充実、明快そのものだが、本書の 主人公=末期の古代ローマ であるため、つい、本書を読んだ感想が重くなる。 読後、空元気出してる末期の病人の病室を出たときのようなため息をついてしまった。 話は全く別になるが、うちの台所は携帯電話の圏外だった。 結婚ウン年目にして気付いた。 |