拾遺


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...... 2007年10月09日 の日記 ......
■ 本   [ NO. 2007100901-1 ]

読書感想

 

「ブレイクスルー・トライアル」伊園旬著 宝島社

 

第五回「このミス」大賞受賞作。

とあるセキュリティ会社が、自社のセキュリティの高さを内外に知らしめるために「セキュリティ破り」のコンペを開催する。

 

主人公属するチーム、その他チーム、そして盗品を回収しそこなった強盗団がそこに加わって、いま、ゲームが開始される・・・・というストーリー

 

なのであるが。

 

選考委員会でだいぶ票が割れたようである。

なにしろ、アクション小説の形をとっている割りに文章にスピード感が無い。

(選考委員もそこは指摘している。描写が律儀すぎて話の腰を折られた状態になってしまうのだ)

そしてなによりもキャラ立ちがよくない。

イカした、もしくはスカした台詞を言わせたいのはわかるのだが、キャラ立ちがよくないので台詞が浮いている。

かっこいい台詞でなくても、その台詞ひとつひとつにその台詞を発すべき必然がなければならないのでは。

そのおかげで、とってつけたような台詞にとってつけたような過去を抱えるキャラ達、になってしまった。

 

オチはまあまあ。きれいに着陸している。

 

実はこの本、選考委員の評価を読むのが一番面白い。

以下、書評家の吉野仁氏の辛辣な評より

 

〜今回残念ながら圧倒的な評価による一作は挙がらなかった。それぞれに難点があり、決め手に欠ける。ご都合主義で成り立っていたり、虚構の度合いに対する統一感が欠けていたり、構成が荒かったりするものが多かった。その三つの欠点がみごとにそろっているのが本作である〜

 

とまあこんなかんじ。

けちょんけちょんですね(;^_^A

 

「このミス」は新人発掘の場なので、作品の荒さ、落ち度をあげつらうよりも将来性を買う、という趣旨の賞とのとこ。

このあたりで票が割れたようです。

 

本作の作家の将来性、に関しては

上記の吉野氏

〜作者の手腕が一気に上達することを期待する〜

 

だそうです。

 

「タータンチェックの文化史」 奥田実紀著 白水社

 

タータン、といえば私は

映画「ラスト・エンペラー」で皇帝溥儀がピーター・オトゥール演じる家庭教師に下問するシーン

「そなたはスコットランド人だというが、スカートははかぬのか」

「陛下、あれはスカートではありません。キルトでございます」

というやり取りを思い出すんですが。

 

カナダのプリンスエドワード島で「赤毛のアン」に関する取材をしていた著者が、プリンスエドワード島にオリジナル・タータン柄がある、と聞き「え?タータンってスコットランドだけのものじゃなかったの?」という素朴な疑問が発端で書かせたスコットランドとタータンチェックとキルトについての本。

著者のキルトに関する愛と情熱を感じます。

 

スコッツ(スコットランド系住民)がいるところ、タータンあり。

本家スコットランドだけでなく、元イギリス領だったカナダ、アメリカのスコッツが強い州にもオリジナルタータン柄というのがあるそうです。

そしてスコットランドのタータン協会に柄を申請すれば、協会公認柄、という「御墨付き」が割りと簡単に下りるとか。

(デパートの伊勢丹の紙袋の柄もオリジナル柄として正式に認定されているそうです)

 

喪服用タータン、という色目の渋いタータンがあり公式の喪服として通用するそうです。
ヴィクトリア女王のご夫君アルバート公が亡くなられたとき、バルモラル城に仕える人々はこれを身につけたとか。
これがまたグレー〜白〜黒〜セピア調の色目が渋くて、いい。日本で普通のタータンとして流行んないかなあ。

一枚布で着る正式なスコットランドの民族衣装ブラッド、の着方、なんて項目もあり、タータンのカラー写真も多く、楽しめた本でした。

 

ついでに。

 

「1999年、イギリスのスコットランドには自治権が認められた」

に、1へえ。

 

「ベイ・シティー・ローラーズは現在も音楽活動している」

に、50へえ。

 

 

 

 

 


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