「ウォッチメイカー」 ジェフリー・ディーヴァー著 池田真紀子訳 文芸春秋社 四肢麻痺の名探偵・リンカーン・ライムシリーズ第七弾! 殺人の犯行現場にかならず月の意匠の懐中時計を置いて行く連続殺人鬼 「ウォッチメイカー」 を逮捕するべく リンカーン・ライムとその恋人で刑事の相棒の美女アメリア・サックスにご指名で出動要請がかかる 早速捜査を進めていくうちに、アメリアは警察内部の上部組織で行われているらしいかなり大規模な汚職事件 につき当たる。 そして、過去の警察内部の汚職事件に亡くなった父がかかわっていた、と当時を知る退職した刑事 スナイダーに告げられ、ショックを受けるアメリア はたしてウォッチメイカーの真の目的は? アメリアの父は本当に汚職に手を染めていたのか? ショックのあまり警察を退職しようとするアメリア そして・・・・・ という相変わらず読ませてくれる展開 書評では「ツイスティングしすぎ」とかなり酷評されていたが 私見では今回作者が一番書きたかったぶぶんはストーリーテリングではないように思われた。 9.11テロ以来、失くしたもの、失ったものを抱えて、それでも今を、明日を生きる テロだけでなく、誰もが何かを失いながら、あるいは人生に裏切られたと思いながら、時の中を生きていく。 自力でさくさくそういう心の隙間を埋められる人もいる でもそうでない人もいる。 そんな人に 「一人じゃないよ」 と、声を掛け、手を差し伸べる たとえおせっかいだといわれても。 そんな人と人との絆のかけがえの無さ ではなかったのかと ラストシーン、過去の汚職事件を暴けなかった壮年の退職した刑事スナイダー(アルコール依存症治療をくりかえしている妻帯者)にアメリア・サックスが父の思い出話をせがみに会いに行くシーンが心に残った。 〜スナイダーは話し続け、サックスはうなづき、それから、と先を促した。 実を言えば、ほとんどは聞いたことのある話だった (中略) だが、今日ここへ来たのは家族の歴史を学ぶためではない。 違う。 心の10−13コール ──“警察官が危険にさらされている、応援を要請する”── に応えただけのことだった (中略) サックスは更に質問し、スナイダーはそれに答えた。 ときに楽しげに、ときにはいらだちを見せながら、ときに気もそぞろに。 でも、質問を無視することはなかった。 何度か立ち上がり、マグに酒を注ぎなおした。 そしてしじゅう腕時計を確かめては、彼女の顔を見た。 “あんたは、ほかに行くとこはないのか?”といった表情で。 アメリアはいつまでだってそうしているつもりだった。 時間ならいくらでもあるのだから。〜 メモ魔のルーキー・プラスキー巡査をレギュラーに迎えライムのリハビリも経過良好のようで性狷介さがやや取れてきたようであるが これだと リンカーン・ライムと愉快な仲間たち になっちゃわないか? と、微笑みながら読み終えた一冊でありました^^ |