拾遺


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...... 2008年02月13日 の日記 ......
■ 読書   [ NO. 2008021301-1 ]

昨日は吹雪でした

今日も吹雪でした

明日もまた吹雪とのとこです

最高気温マイナス五℃

水道局は日中の水道管凍結の注意を、気象庁はたいした用も無いなら危険だから外出するな、と市民にそれぞれ呼びかけています

(ちなみにマイナス四℃で水道管は凍結するそうです)

 

賢明な私は冬篭り。

連日の吹雪で読書がはかどる

あまりはかどるんで重めの内容の本でも借りてくりゃよかった、と後悔するほどの吹雪の日々。

 

こういうときってロシア文学とかドイツ文学をよむとはかがいくんだよな、他にやることが無いから

とか思いながら

読んだ本

 

「さもなくば喪服を 闘牛士エル・コルドベスの肖像」 

ラリー・コリンズ、ドミニク・ラピエール著 志摩隆訳 早川書房

 

赤貧洗うが如き貧困から国民的スター闘牛士にのし上がったマヌエロ・ベニテスこと

「エル・コルドベス」(コルドバの男の意)

の半生

 

既読本であったのだが再販を期に再読。


以前読んだ時は大学生だったのでコルドベスカッコイイ、の一言につきる感想でしたが
現在読むと独裁と呼ばれたフランコ政権が政権を維持しつつ、EEC諸国(当時)と国交を再開しつつ
かつてのカスティリヤの荒地を灌漑し、農地を増やし、失業率を下げ、国民総生産を上げて
独裁政権を軟着陸させていった過程に興味を引かれる。


「スペインを知るなら闘牛を知らねばならない」

 

と知る人は言うらしい

 

極限まで様式化、儀式化されたその伝統的な「闘牛」

 

日本で言えばどうやら歌舞伎と相撲を足して二で割ったような世界らしい

 

大牧場主にコネがあるか、闘牛士の子供として生まれるのでなければ、限りなく闘牛士への門戸は狭いという特徴は梨園に生まれなければ舞台に上がる機会は絶無に近く、門跡を継ぐことはさらにない歌舞伎役者の如くであり

牛はその生死をかけた儀式のために広大な牧場地で人を見ることなく育つなどという異常な環境で闘牛牛の育成についての箇所は、猛烈なぶつかり稽古に耐えるために欧米人にとってはグロテスクとまで言わしめる血糖値150を過ぎても糖尿病にならないあの力士の肉体を作り上げる過程を髣髴とさせる。

 

(牛は賢いので人間の行動を知ってしまうと、闘牛で人間に勝ち目はほとんどないそうなのだ)

 

フランコ政権、動乱の時代

ピレネーより北ではビートルズ旋風が吹き荒れていた時代

貧困のスペイン

 

貧困と、誇りと、闘牛への執念、そして手製のムレータ(闘牛用のケープ)だけをもって、閉塞していた時代に風穴を開けた男、エル・コルドベス。

 

本書のタイトルは初めての公式闘牛に向う朝、コルドベスが姉アンヘリータに行った言葉

 

「なかないでおくれ、アンヘリータ、今夜は家を買ってあげるよ、さもなければ喪服をね」

 

から採られている。

 

実際のところ、コルドベスは闘牛の天才でもなんでもなく、常識と伝統美を無視したその野性的闘牛スタイルが民衆の圧倒的支持をうけた。

 

要するに闘牛版「矢吹ジョー」のようなキャラだと捉えるとかなり解りやすい。

 

それだけなのだが

 

そこに魅かれる憧れる(笑)のが人のサガ

 

 

が、しかしコルドベスは真っ白に燃え尽きるような死を迎えることなく

大怪我からなんどかカムバックし、功なり名をとげ、大金持ちになりフランコ以上の有名人になってスペイン全土に君臨する。

 

いいドキュメンタリーなので再販が喜ばしい一冊でした^^

 


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