「眠れる美女」 川端康成著 新潮社 「片腕」「散りぬるを」収録 女体フェチ炸裂短編集 表題作の「眠れる美女」「片腕」はリンク先さんの「SF名文句・迷文句サイト」さんの別リンク 「ファンタジー名文句・迷文句サイト」で紹介されていたので両方読んでみたくなったが図書館に行っても両方収録された全集の巻が無かったので古本屋で購入。 川端康成がエロティックでもヒワイでもなくただひたすらにフェチを追求する。 執筆年代順「散りぬるを」(昭和8年)→「眠れる美女」(昭和35年)→「片腕」昭和38年) 「散りぬるを」では小説家である主人公の女弟子とも秘書ともつかぬ女が顔見知りの男に寝込みを襲われ乱暴される訳でなく胸を一突きにされて殺される。犯人は極刑に処され獄死。 小説家の脳裏には無残な犯罪に対する憤りでもなく哀れな女への哀悼でもなく、状況証拠であるところの女弟子の刺された白い胸を写された白黒写真が忘れられない。 主人公の「これは虚構なんだからいいじゃないか」という虚構の中の虚構といういわば二重構造で構成された言い訳がましいラストについ微笑みを誘われてしまった。 同病相哀れむ。 「眠れる美女」 主人公の江口老人は“友人”からの紹介で温泉街の外れにある海沿いのとある一軒家に赴く。 そこは全裸の十代の見目麗しいきむすめが薬で眠らされており、意識の無いむすめたちのわかいはだを愉しみ一夜を過ごすことを許される。 (要するにAとBはOK,CからはNG という規則の会員制売春宿だ) 抵抗しない若い娘と肌を合わせながらあたかもその法悦を“秘仏と寝るようだ”と表現するフェチっぷりが凄い。 自身、睡眠薬で意識を消失しながら意識の無い娘を抱く。 死体愛好趣味を自覚しながらはまりこんでいく過程にぞくぞくする。 死への恐怖、老いへの恐怖、反面、タナトスの甘さかぐわしさ。 ラストの売春宿の女将の台詞が怖い ここでがつんと現実に引き戻される。 それがまた怖い。 「片腕」 十代の美少女が片腕を外して男に貸して差し上げます、と差し出す。 そしてことと次第によっては男の腕を自分の腕と交換してつけてもいい、と恥ずかしそうに言われる。 男は自身の肩の根元につけられた娘の片腕と一夜過ごす。 腕から感じる娘のはじらひ、とまどい、十代の娘の感性そのものを五官に感じる恍惚感。 時間が経つにつれてフェチ度が高くなっていくよい仕事でした。 |