「シンデレラの罠」セバスチアン・ジャプリゾ著 望月芳郎訳 東京創元社 特に勧められなかったが今なに読んでる、といったらこのタイトルが返事だった。 ので読む。 大火事で記憶と顔を失ったヒロインのもとに、あなたはミシェール・イゾラという名で莫大な遺産相続人である、という女、ジャンヌが現れる。 ミシェールことミはジャンヌの保護を受け、以前住んでいた屋敷に帰ってきて、以前の友人や恋太などに引き合わされる。しかし思い出すのはドことドムニカという名前の幼馴染の従姉妹のことだった。 ある日、ジャンヌの保護を逃れて一人ホテルに宿泊しようとして、ミは無意識に宿帳にある名を書いてしまう 「ドムニカ・ロイ」・・・・ 果たして自分の記憶は本当なのか、自分は本当にミシェールなのか・・・ というサスペンス・ミステリ ハコ的には美内すずえの「孔雀色のカナリア」か一条ゆかりの「夢のあとさき」と同ハコで別オチ。 1962年のミステリなのでオチ、ネタ的にはとくに新鮮ではないのだが主人公とドムニクと語り手と〇〇〇と〇〇▲が同一、微妙に人称が変わるトリッキーな内容は今でも読ませる作品。 いかんせん、訳がぎこちない。 ややクラシックな雰囲気の文章は1960年代、女遺産相続人、チープシックなパリ娘、というモティーフには似つかわしいが文章全体がグルーヴ感に欠ける。 訳者には時々文章を訳して物語を訳さないタイプがままいるが、この翻訳者はどうなんだろうか。 しかしこの枚数で読ませる仕上がりは作品の魅力として捨て難い。 翻訳物は難しいですね。 |