「眠狂四郎独歩行(上・下)」 「眠狂四郎殺法帖(上・下)」 「眠狂四郎孤剣五十三次(上・下)」 「眠狂四郎虚無日誌(上・下)」 「眠狂四郎無情控」 「眠狂四郎異端状」
柴田錬三郎著 新潮文庫
シリーズ一気読み。 眠狂四郎カコイイ。 それに尽きるのが感想ですが。 このキャラを主役に据えてよく18年も連載したなあ、シバレン大先生。 とにかくこのキャラはスケールのでかい話を回す際には主役に限りなく向かない。 乗りかかった舟には乗るしかない、と言うくせに今日はあっても明日は無い、などというほぼ無敵キャラでやばいことに首突っ込むのは好きなくせに、ムキになるのは大嫌い、というひねくれた性格だから。 ポジション的に向くはずなのはコンドルのジョーであったり神宮寺力であったりニコ・ロビンなのだ。 お馬鹿系お元気の主人公をサポートする、万能系・主役お助け脇役に据える方がよっぽど話を回しやすく、スピンオフで数作中篇〜短編を書くというほうがよほど楽だろうに。 だがさすがにこの性格で長編をかくのはいかにシバレン大先生でも大変だったと見えて、作品として伏線を綺麗に回収できたのは「虚無日誌」のみ、といっていい。 さすがに第一作終了で殺すつもりのキャラだ。 ただしシバレン先生のこの扱いづらいキャラに愛着を覚えていた所為か、人気シリーズでもあったこともあって続編の構想があったらしい。(惜しくも他界) シリーズ最終にあたる「異端状」で抜け荷船(密輸船)に乗り込んで海の向こうの清国に渡ったところで消息を絶っている眠狂四郎であるが、月代はそらず伸びっぱなしだし、もともとオランダ人との混血だし、ジャワ、バタビヤなんてスケールの小さいことをいわずに西欧に渡って黒の着流しの変わりに某黒執事のように黒一色を身にまとい雪駄のかわりに靴を履いてトレードマークの差料、夢想正宗を腰に帯びてヨーロッパの石畳を歩き、時に現地の小悪党に懐かれ、時に美女にもてつつ、時に有力者の走狗として生活費、遊興費に事欠かず、かの地でも円月殺法をふるっていたりして、と膨らむ妄想を亡きシバレン先生に捧げさせて頂こう。 |