「ブス論で読む源氏物語」 大塚ひかり 講談社 源氏物語の女君論は出尽くした感があったところに新しい切り口の源氏論。 以前、大和和紀のマンガ「あさきゆめみし」をよんだときに黒ベタロング髪のヒロインズをデザイン的にもキャラ立ち的にもここまで描き分けるなんてすごーい、と思ったものですが、本書では「揺れる」やり捨てられ系こっきりヒロインの空蝉や夕顔や浮舟は、ひたすら華奢に造形することで拉致られやすく個に乏しい、という造形、対して個を持つヒロインズ玉鬘や六条の御息所、明石の上は“そびやぎたまい=背が高い”と表現されてキャラ立ちのための書きわけがなされていた、との記述にそういう風に読んでいなかったんだなあ、自分。 「ブス論〜」は源氏物語のブス末摘花のキャラ的扱いから古代日本には確実に在った美に対する醜によせる生命力に対する価値観が平安末期にはとうに失われ、現代人の如く現実との乖離がすすみ非現実たる浄土への感心をかきたてられ武士の時代が来るに至る、と解釈する。 「源氏物語のもののあはれ」 大野晋 角川文庫 文法からアプローチする源氏物語。 少なくない文例から引いてくる解釈はそれなりに面白いがやはり飽きる。 横話の「蜻蛉日記」の作者藤原道綱の母と兼家は擦れ違い夫婦だったというのに異論。 あれは、「すれ違い夫婦」ではなく「噛みあわない夫婦」の女の愚痴かと。 |