読書感想 「学食の黒澤さん」 黒澤健治 高碕経済大学の学生のみなさん 泰文堂 生協の白石さんの正体が判明して、若い男性だったのに驚いたが、こちらは元・自営業者のいっこくそうなおっさんであったりする。 おっさんらしく若い学生に優しい目を向けるようなコメントよりも、喝を入れるようなコメントがいかにも、というかんじ。 やんわりとかわす白石さん、きっぱりとかわす黒澤さん。 反面、予算の限られた学食メニューに創意工夫を怠らないプロ根性は見るべき。 衛生安全面の問題から提供できなかった月見そば(うどん)の生卵を、一度温泉卵にして月見に提供する、という発想に驚く。 「縁は異なもの」白洲正子×河合隼雄 対談集 河合書房新社 昭和のサムライ同士の真剣勝負。 会話の一言一言を虚言にしない、ときに虚言に紛らわすユーモア。 白洲正子の「西行」からの河合隼雄の感想 「〜憧憬や心酔は畢竟するところ何も生み出さしはしない〜」これはじつに厳しい言葉であるが私が述べようとしたことの本質をずばりと言い当てている。憧憬や心酔。それは先に述べた「主観」の世界なのである。そんなのは没個性的客観と同様に「何も生み出しはしない」のである」 アニメ攻殻の草薙の台詞「オリジナル無き他者の存在」云々というのを思い出してしまった。 あれもオリジナルが模倣者を生みこそすれ、模倣者は模倣者である限り何も生み出せはしなかった、という厳しい話だった。 ところで「縁」に該当する英語は存在しないそうで。 コインシデンスは「偶然」(偶然の一致、というか) 「フェイト」では大袈裟(運命・宿命、なら確かに大袈裟かも 袖触れ合うも多少の運命とは言わんもんな) イッツ・ディッパー・ザン・コインシデンスでかなり近く(偶然っぽい切り替わり とでもいえばいいのか) ユング派はコンステレーションという言葉を用いることもあり(偶然に見える必然、か。 確かに近いが何かちがう) 「縁」一語を翻訳できない。 明らかに文化が違うんだなあ。 |