読書感想 「京都 紫式部のまち その生涯と『源氏物語』」文:坂井輝久 写真:井上匠 淡交社 紀行文にしては情緒に欠け、紫式部日記から読み解く源氏物語、にしては時間軸順にエピソードを並べず、有識者のコメントに頼りすぎている。 内容的に物足りない。 きついい方だがこの内容なら紫式部日記を上段、訳文を下段のパラレルテキスト、ゆかりの地の写真はオールカラーにするという本のつくりのほうが良心的ではなかったろうか。 むしろこう作りなら是非購入したい。 紫式部が宮仕えした彰子中宮の宮廷での女房仲間、伊勢大輔との歌のやり取りをみて、赤染衛門よりも伊勢のほうが才能あるな、と思い。 一条帝亡き後皇太后になった、病を得た中宮の平癒祈願に清水寺に参拝し、十一面観音に灯明を献じたとき、紫式部が偶然、伊勢大輔と居合わせる。 「心ざし 君にかかぐるともし火の 同じ光にあうがうれしさ」 紫式部 趣味がよく技巧的な贈答歌ではありますが。 これに対して伊勢大輔の歌 「いにしへの契りもうれし君がため 同じ光に影を並べて」 伊勢大輔 同じ目的で居合わせた年上の朋輩に共感する仲間意識をいきいきした感性で趣味のよさは同レベルで応えている。 伊勢大輔は紫式部より十五〜二十歳年下だったそうですが、負けてませんね、歌でなら。 むしろ紫式部のほうが形式を守ろうとして歌が死んでいます。 紫式部の歌は創作内創作の方が出来がいい。 |