
「元気でいてよ、R2-D2」 北村薫 集英社 直木賞受賞後初の短編集。 短編集なのでテーマは軽いが相変わらず簡潔で清潔感がありながら、ヒトの心の中や外のどろどろぐちょぐちょしたものを垣間見ることへの恐怖を熟練の筆致で描く。 「マスカット・グリーン」の女性の足のとある箇所をマスカットの実に喩えるエロス、最後まで読んでタイトルの脚が目に飛び込んできてぞぞぞっとくる「ざくろ」、表題作のシステマティックでありながら使われなくなって久しいコーヒーメーカーに気持ちを酔いに任せたまま託してしまう「元気でいてよ、R2-D2」 。 テーマにしている怠惰が、鈍磨が、鈍感がというものはというのはだれにでもどこにでもあるものだけに、そこから呼び起こされる恐怖というものが簡素な短編集でありながら本書を一流のホラー作品として成立させている。 凄いぞ、北村薫。 |