拾遺


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...... 2008年09月02日 の日記 ......
■ 読書   [ NO. 2008090202-1 ]

「よいクマわるいクマ キムンカムイ ウェンカムイ 見分け方から付き合い方まで」

萱野茂 前田菜穂子著 写真・稗田一俊 北海道新聞社

 

図書館の司書のおねいさんのオススメ本

 

キムンカムイ=ヒグマに対し、ウェンカムイは人を襲うようなヒクマのこと。

アイヌの人がすまう土地をアイヌモシリと呼んだ時代からそうよばれてきたのだそうです。

基本的には狩猟民族であるアイヌの人は大自然から与えられるもの、得てよいもの、得てはけないものと、大自然との共栄共存をしてきた民族ですが、ときにクマの領域を侵してしまいクマが怒って人のものや人そのものをおそうようになる。人の味を覚え味をしめたクマは本当の人食い熊(ウェンカムイ)になってしまう。

しかし、クマを人食い熊にしてしまったのはクマの領域に踏み込んでしまった人間なのだよ、

というアイヌの知恵や、最新環境調査や自然保護の観点から大自然との共栄共存をできない人類への警鐘とも読める本。

 

 

以前さる人のエッセイを読んでいた時トキの人工繁殖成功のニュースに

“トキ増やしてどうするんだろう、スーパーで卵や肉でも売るのかしら”と辛辣な一文で片付けていたのを思い出し。

トキを増やして個体数を増やしてもそれはただ個体数を増やしただけのことでトキがえさにする小魚のいる沼地やドジョウやタニシのいる田んぼなんかがある環境が無ければ生態系の一部、自然に帰してやることはできないのだ。

それこそ観賞用に動物園で増やすパンダとなんらかわらない。

 

美しい動物やかわいい動物を剥製以外で見たい、というのはありかもしれせんが 動物園でパンダがなかなか増えないのは人がパンダによい環境を用意したつもりでもパンダにはそこがまともな環境ではないからかもしれません。パンダやヒグマなど、野生の熊のテリトリーは何万平方キロにも及ぶため人工的にクマに相応しい環境を用意するのは特に日本では至難の業であろうと思われる。

 

この場合のクマやエゾシカとて同様。

クマやエゾシカが常食にするどんぐりやヤマブドウがなる広葉樹林がないとエサの無い針葉樹林ではクマはいくることができない。

だが森林伐採、経済植物であるところのスギの植樹で住環境を奪われてとうとう山に棲めなくなり、人里に下りてきてゴミや農作物を荒らすようになってしまった。

環境を破壊しながらむやみやたらと保護して個体数だけ増やしてしまったクマやエゾシカを害獣として駆除するまえにできることがあるはずなのだ。

食物連鎖の頂点に立つクマが生きていられないような環境でやはり食物連鎖の頂点に立つ人間もまたもはや正常な生態で生きてはいないのかもしれない。

 

クマとの共存を、クマの生態、クマとであったときの対応策などを教えながら丁寧に解説されているいい本でした。

 

秋山に入る人、必携。

 

 


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