「桐島、部活やめるってよ 」 朝井リョウ 集英社 バレーボール部のキャプテン桐島が、なぜか突然部活を辞めた。 桐島が辞めたことに戸惑うバレーボール部員、友人、桐島をみていた女の子、その女の子を見ている男子… それぞれの心に青春のさざなみのような波紋が広がる。六人の高校生男女心模様を描いた連作短編集。 きわだった何かがあるわけではない。 ただ、言葉に出さない秘めた心理の描写、誰が何を思っているか、そんなときの恋慕とおなじくらいの量の薄情、残酷、憐憫みたいなどろっとしたものになりかけている心の澱(オリ)の浮き沈みの描写がこまやかで凄い。 コンプレックスと同じくらいプライドを持て余していて、その二つに鼻先をきりきり引っ張りまわされていたあの「十七の頃」に、この小説はいとも簡単に引き戻してしまう。 評価が割れるとは思うがこの力量は個人的には評価したい。 いいな、と思った新人は作家としての引き出しの多さが気になるところなので二作目の「チア男子!」の配本を心から待っている^^ ところで何で桐島君は部活をやめたのかしら |