「沖縄の宇宙像 池間島に日本のコスモロジーの原点を探る」 松居友 洋泉社 沖縄の離島、池間島。 実はこの島は島全体が霊地・聖地としての格が高、く古代から続く神事がいまだ色濃く残るという。 作者の池間島での細やかなフィールドワーク、そしてアイヌ、フィン族、イヌイットなどの風習との比較、類推を一冊にまとめた本。 この本を読んで「神事」というものの位置づけが自分の中で変わりました。 私は今まで「神事」というのは神に祈る儀式という程度で捉えていたんですが、ここで言う神事はもっともっと濃い。 天体を、海を、風を敬い畏れ愛するのは人外の、神のエネルギーを取り込む儀式に他ならない。 しかしそれだけでは収まらないところが神との対話の難しさ。 諸星大二郎の漫画にもありましたが 神とは有難い一方の存在なわけはなく、時に荒ぶり、時に奪う怖ろしい存在なのだった。 それを上手く除けつつ折り合いをつけながら神のエネルギーを取り込む。 神事とは敬虔な祈りと宇宙との対話をするという膨大なエネルギーを要する儀式なのだった。 日本の端っこの小さな島の神事を通じて、日本人の根底に流れている(はずの)その恐ろしさ、敬虔さ、いとおしさ、やさしさに肉薄した著者に敬意を表したい |